周回遅れ寸前(豊島)

ついに金曜日になってしまいました。もうちょっとで周回遅れ…


東京、結果的に例年より遅い梅雨入りだそうで、最近晴れの日が多いですね!お陰さまでトマトの苗もグングン育っています。


さてさて、来週舞台の本番があるのでお知らせです。いつも一緒に演劇をしているウンゲツィーファの作品です。演劇公演をバックパックに入れて持ち運び可能にする・演劇の軽量化を図ってより遠くへいくことを目指す、「UL(ウルトラライト演劇)」なるものを作っています。これから続いていく旅の始まりの公演です。小田急線の南林間という、都心から少し離れた場所での上演なのですがぜひみにきてください!


ウンゲツィーファ 持ち運び式演劇プロジェクト

UL(ウルトラライト)演劇公演『トルアキ』

2021.6.17~20@図鑑house(神奈川県大和市南林間)

詳細 https://ungeziefer.site/next/

※当公演は客席がありません。また、屋外のスペースで行われます。立ち見、若しくは地面や段差などに座って鑑賞頂く形となります。(アウトドア用の椅子などの持ち込みも可能です)


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加藤さんが撮影をしていた作品の話を少し聞きましたが、なんだか新しい加藤さんが映っていそうで楽しみ。時を待ちましょう〜。


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■連続ブログ小説■

まず先にお知らせをして置きたいのですが、先週加藤さんにもらったお題「野菜炒め」で書いていたらすごい長くなっちゃったので、今回はその前半を載せます!(なので次回も野菜炒めで続きを描きます。)だから次は多分土曜日に更新できる…はず…


それではどうぞ〜!


【 9 】

ちょうど町の境目のところにあるドラッグストア「ヨータロー」は、つるのような緑の葉っぱに覆われてその黄色い壁がほとんど見えなくなっていました。


郊外代表という風情の私たちの町から一つ、山に近づいたこの町は田んぼが多く、ヨータローを超えるといつもなら一面のんびりした田舎風景が広がります。


しかし、今ではどこが田んぼだったのか、その輪郭が分からないほどに一面鬱蒼と茂る草・草・木・木。しかも、この辺りではあまりみないような、なんだか植物園の温室のような、一つ一つの葉っぱがとんでもなく大きいような草・草・木・木。


「これあれじゃない?ニュースでやってたやつ」


妹が言いました。


「なに?」

「え、今テレビでめちゃやってるじゃん。なんか、外来種の、史上最悪の草がすごい勢いで田んぼとか池覆って農家さん困ってるみたいな。」

「そうなの?」

「うん。ちょっと目を離すとすぐ増えるんだって。なんか増えるワカメみたいな」

「へー。こんな感じなの?」

「いや全然。だってこれジャングルじゃん」

「うん」

「あ!バナナ!!」


そういって、妹は猿みたいにスルスルスルっと木を登っていきました。


この子の行動は昔から予測不能、自由。わたしはその伸びやかさを羨ましく思い、たまに少しだけ、悲しくなることがありました。


バキッ!ボトッ。バキッ!ボトッ。


妹がまだ青いバナナを枝から引きちぎっては地面に放り投げていきます。そのリズムが等間隔で、心地よくて、わたしはうっとりとしてしまいました。


「これ美味しいかな?」


気づけば妹は目の前にいました。


「なんかさー、アフリカの人がさ、バナナの葉っぱに包んで蒸したりするよね、青いバナナ」

「そうだね。じゃあ、葉っぱも取ってきてよ」

「え?…いいよ!!」


妹はなんだかとても嬉しそうな目をして言いました。わたしはただ、妹の奏でるリズムをもう一度聴きたい、それだけだったのです。


わたしは目を閉じて、その時を待ちました。


ザッザッザ…


妹が木を登っていく音が聞こえます。


バキッ ギシッ メリメリッ ギッギッ…


あれ…?


ギッ…ドシン!!


目を開くと、巨大なバナナの皮に覆われた妹が床に倒れていました。


「全然取れなくて、ぶらさがったら取れた!」


妹はケタケタ笑っています。わたしもなんだかおかしくて、一緒にケタケタ笑ってしまいました。


それにしても、暑い。自転車を漕いで熱くなった体は、さらに体温が上がって汗がダラダラ流れています。


その時です。


「うぉ〜い!何してんだぁ!」


遠くからおじいさんの声がしたのです。(続く)


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会場となる図鑑houseのお庭。大きな金柑の木と、大きなアナベルがあります。素敵!

点と___web

加藤紗希と豊島晴香による創作ユニット[点と]のウェブサイトです。

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