ザワザワ師走(豊島)
こんにちは。なんていうことでしょう、もうすぐ12月も終わりますね…。最近寒くて寒くてやってられないです…。前から寒がりだけど、なんかこの数年で明らかに寒さに弱くなっている気がする。きつい…。師走は心がザワザワして落ち着かないので早く年明けてスッキリしたいです。
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加藤さんは神戸へ行ったようですね。加藤さんは最近かなり頻繁に地方を飛び回っていて羨ましいです。来月は一緒に京都のPFFへ行きます。楽しみ!!!
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さてさて、連続ブログ小説18回です。ごめんなさい今回は終われませんでした!次回を最終回にしたい…!今回のお題は「振動」です。ではどうぞ〜。
(前回までのまとめページはコチラ)
【18】
クーラーの効いた野上さんのバンで妹と中林さんが広場に戻ってきたとき、私たちはすでに一通りの工場見学を終えたところでした。…と言っても、この町には機械は一切なく、メロンパンの製造は全て手作業。各スーパーから引き抜かれたカリスマ店員たちが、まるで機械のような精密さ・手早さで一つ一つのメロンパンを形作っていたのでした。私たちは円形の広場をぐるっと囲む一つ一つの部屋を窓の外から順番に見学していき(ミキさんは途中で飽きてタバコを吸いに行ってしまいました)私は溢れ出る涙を必死に堪えながら、各セクションごとの、プロフェッショナルとしか言いようのない手捌きを順番に拝ませてもらったのでした。
「ここは、桃源郷だ」
と思いました。幼少期から、時計やベルトコンベアー、コンクリートミキサーのブレない規則性に憧れ、機械になれたらどんなに良いかと憧れ続けてきた。だけどその一方で、ロボットなんて足元にも及ばないスーパーのカリスマ店員たちの熟練した手捌きを間近でみ続け、人の力の凄さを身にしみて感じていた。ここには、私が34年間追いかけてきたものが全て詰まっているような気がしたのです。ここなら、私の、夢が叶う…?
ただ、一つ気がかりなことがありました。どの部屋にも、オーブンが全くない。ぐるっと1周全ての部屋をまわり、メロンパン生地の製造工程は一通り追いかけることができました。しかし肝心の焼く場所がないので、完成したメロンパンを目にすることはできなかったのです。
その時でした。
プォォォォォォォォーーーー!プォォォォォォォォォォォーーー!
穏やかな町を切り裂くように、突然轟音が響き渡ったのです。
「アイサァーーー…オス!アイサァーーー…オス!」
そして町の裏手の森の奥から、不思議な掛け声が聞こえてきました。その声は老若男女、様々な声がより合わさり、大きな大きな響きとなって町中にこだました。また掛け声の後には、ゴゴゴゴと地響きのような音とともに地面が少し振動するのも感じました。
「え!怖ぇ!なんだこれ!ミキちゃん、ミキちゃーん!大丈夫、俺が絶対守るから」
そう言って喫煙コーナーにいたミキさんの元に駆け寄り抱きついた中林さんの膝はガクガク揺れています。それを横目に妹は「なになになにやばすぎじゃない!?」と爆笑しています。
「お姉ちゃん、見に行こうよ!」
こうなると妹は止められません。
「野上さん、ちょい車出して!」
「はい喜んでぇ!」
鶏泥棒の件で何故か妹にコッテリ怒られてしまった野上さんは完全に妹の言いなりになっていました。そういうわけで野上さんを運転手に、私たちの車は音のなる方へ走り出したのでした。(続く)
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