【思文会】その⑧~スニーカーびちゃ男との出会い編(前編)(豊島)

6月になりました!最近は曇っていても洗濯物がよく乾くので大変助かっております。でもその分だんだん猛暑の気配が漂ってきましたね…。こないだ暑かった日、ずっと家に篭っていたらはやくも軽く熱中症になりました、、皆さまもお気をつけ下さい、、、


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加藤三姉妹可愛すぎですね〜
さきちゃんはよく小さい頃の写真や動画をみせてくれます。
わたしは兄一人なので姉妹が羨ましい…!!

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さて、今週は【思い出を文章にする会その⑧〜スニーカーびちゃ男との出会い編(前編)】をお送りします。部活にあけくれていた高校時代におきた事件です。宜しければ是非お読みくださいませー!

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高校時代、私は陸上少女であった。種目は800メートル。とにかく速くなりたくて、毎日男子と一緒に走り、筋トレし、脂肪になりそうなおやつは控え、練習後には必ずプロテインを飲んでいた。


私服校だったので服装は自由だったのだが、毎日自主的に全身青一色でズボンの裾がチャックになっているスーパーダサいジャージで登下校。(背中には「TRACK AND FIELD」とデカデカプリントされていた)なんなら運動部の女子がどうせ朝練するのに可愛らしい恰好で登校している姿をみて、「色気づきやがって。あいつらスポーツなめてんな」と心の中で毒づいていた。当時の私は陸上に熱中するあまりストイックをはき違え、色々よくわからない方向に突き進んでいたのであった。


さて、その日は多分部活がなくて、私は私服を着て駅のホームにたっていた。いつも部活帰りは友達と一緒に帰っていたが、その日は一人。私の高校の最寄りにはいくつか学校があったので、ホームは他校の学生たちでにぎわっている。私はボーっと電車が来るのを待っていた。すると、


「あの…」


突然、いつの間にか横に立っていた坊主頭の男性が話しかけてきた。

「すいません…あれ、どこかでお会いした気がするんですけど…」


 「…え?」


正直、全く見覚えがない。

思い出せない私。


「あれ、なんかスポーツ、やってますよね…?」


「え、はい…」


「あれ、えーっと、何のスポーツでしたっけ?」


「え…陸上ですけど…」


「そうだそうだ!僕体育大学の学生なんですけど、多分試合でみたんだ!…あれ、どこの競技場だったかなぁ…えーっと…最近試合どっかでやりました?」


「え…○○競技場とか、」


「あー!そうだ○○競技場だ! 僕審判で入ってて、なんかすごいフォーム良い子いるなぁと思って~!」


…ここまで読んでお気づきだろうが、この自称体育大学生から発信された情報は、まじで何一つとしてない。誘導尋問にあっさり乗せられた私がほいほい出した情報を、男性がオウム返ししているだけなのである。


(唯一「スポーツやってますよね?」だけは男性発信の情報であるが、当時の私はスポーツやってなかったら日サロ通ってるとしか説明のしようがないくらいに真っ黒に日焼けしていた)


冷静に考えるとかなりやばいやつに話しかけられている状況ではあるが、当時の私は「フォームがいい」なんて言われたら「人の目にとまるぐらいトレーニングの成果が出ている!」と胸を震わせ、すぐに相手を信用してしまう純粋な17歳なのであった。


そんなこんなで話をしていると電車が到着。電車に乗り込むと、扉前の角っこに立った私の目の前にその人が位置取り、そのまま話かけてくる。褒めてくれたのは嬉しいけどちょっとめんどいな。。。


そのときである。ふと足元に目をやった私の目に、謎すぎる光景が飛び込んでくる。


スニーカーから、めちゃくちゃ、水出てる…


なんだかよくわからないけど、この人両足から大量の水がしみだしている…!


「・・・・・・・・・」


スニーカーをみつめる私の顔は恐らく引きつっていたと思う。それに気づいた自称体育大学生が自分の足元をみる。


「あれ!なんでこんな水出てんだろう?」


自分の足元をみつめながら足を動かす学生。ズボンも含め他の一切の箇所はぬれていないのに、なぜか足を動かす度に水分をいっぱい含んだスニーカーから水がずぶずぶしみだしてくる。めちゃくちゃしみだすので、足元にはプチ水たまりがでいている。


その日は晴れ。何がどうやったらスニーカーのみそんなに濡れるのか謎すぎる。


「・・・。あ、えーっと。それでさ~」


足元びちゃ男は、足元がびちゃびちゃな件をスルーして話を続けようとしてきたのだった。いやスルーするの絶対無理だよ!(続く)

先日新宿御苑でピクニックしました〜!

点と___web

加藤紗希と豊島晴香による創作ユニット[点と]のウェブサイトです。

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