【思文会】その⑬~真夏の巨大砂像作成編(豊島)

こんばんは。気づけばもう10月も終わりますね…今年の10月はなんだか色々ありすぎて本当にあっという間でした。ここから先はもう師走にむけて徐々にペースがあがっていき一気に年末までなだれ込むんだろうなという予感がします。


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最近は島通いをしている加藤さん、先日お誕生日だったようです~~おめでとう!我々は偶然にも同い年でふたりとも10月生まれです。30歳のアニバーサリーイヤー!加藤さん誕生日もめちゃハードスケジュールだった模様。お互い健康第一でやっていきましょう~。


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さて、先週一回延期してしまった砂像を作った話について書きました。実はつくった砂像の写真がもう何年も行方不明になっていたのですが、先日友人が仲間の結婚式のために封印されていたハードディスクをあけたところ写真が出てきたとのこと!記憶の中で美化されすぎて思ったよりクオリティ低めでしたが、真夏に7時間かけて作った作品なので是非文章を読んでみてください~。


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【思い出を文章にする会】その⑬~真夏の巨大砂像作成編(豊島)

大学1年生だったある日。突然友人が「これやりたいんだけど」とスマホを見せてきた。そこに写っていたのは海辺に形づくられた大きくて緻密な砂像の数々。それは人間であったり、動物であったりキャラクターだったりした。どうやらサンドアートと呼ばれるものらしい。


大学時代、私が仲良くしていたのはデザインの勉強なんかをしているクリエイティビティの塊のような人たちであった。彼女らは友人の誰かが誕生日を迎える度に異常な熱量で、めちゃめちゃすごいけど無駄でしかないプレゼントをつくりだすことに膨大な時間をさいていた。私はといえばバリバリ文系でモノづくりの技術に関しては全く足元にも及ばなかったが、彼女らの手伝いで何度も徹夜をした記憶がある。今私が小道具や美術を作るのが好きなのは彼女たちからの影響が大きいように思う。彼女たちと何かを作る作業はとても楽しかった。


こうして私たちは、大学から近かった江の島の海岸でサンドアートを作ることになった。つくるものは、何がどうなってそうなったのかわからないがドラえもんの立像に決定。おそらくあまり細々したデザインはむずそうだからフォルムがシンプルなやつで…ということだったのだと思う。


大学の友人は二人だったが、でっかいの作るならもう一人ぐらいいた方が良いよね、ということで私の中学時代の友人を招集。100均でスコップやバケツなどのグッズを大量に購入し、我々は真夏の江の島に乗り込んだのであった。


集合時間は朝7時。真夏の江の島の日差しはやばいので、まだ涼しい早朝からストイックに作業して暑くなる前に完成という計画である。


ちなみに当時私たちは18歳。花の女子大生である。おそらく世のギャルたちはビキニで江の島に集うことと思うが、我々にとってはまずなにより機能性が重要なので服装はジャージ一択。サンドアートの設置場所を選定するためにビニール袋に入った作業グッズをガサガサ持ち運びながらすっぴんジャージで早朝のビーチをうろつく。


サンドアートの設置場所はすごく重要である。基本的にぬれた砂でないと固めるのが難しいので、なるべく水に近いところが良いが、近すぎると満ち潮になった際に流されてしまう。またあまりに人がごみごみしていると砂の運搬作業がしづらい。結果的に我々はメインのビーチよりちょっと奥まったところにある砂浜で作業を開始することになった。


まずは、ともかくどでかい砂山を作るところから始めなければならない。波打ち際でぬれた砂をバケツいっぱいにいれて、少し離れたところまで運び、バケツから出して固める。この作業をひたすらに、ひたすらに繰り返すのである。


…これが想像を絶する大変さなのであった。むしろほとんどこの作業で終わったといっても過言ではない。小さいころ砂遊びをした方ならわかると思うが、手ごろな砂山をつくるのにもそこそこの砂が必要なのである。ましてや等身大のドラえもんサイズの砂山を作ろうものならかなり膨大な量を運んで固める必要がある。運んでも、運んでもなかなか砂山は大きくならない。そしてぬれた砂というのはめちゃめちゃ重い。


ドラえもんの立像を作ろうと計画していた我々であったが、砂を重ねれば重ねるほど裾が広がっていき、どんどん山型になっていってしまったのでドラえもん座像に計画を変更。

日差しがきつくなる前に完成の予定ではあったが、どうにか十分なサイズの砂山を作り終えたころにはもう正午を回っており、気づけば我々は水着ギャルと海水浴ファミリーに取り囲まれていたのであった。


炎天下で5時間近くぬれた砂を運び続けるという、江戸時代の拷問なのかというような作業をやっていた私たちもさすがに体力の限界を迎え、仕方なく一旦お昼休憩をとることに。あまりの暑さに少し離れたところの日陰で涼みつつお昼を食べ始めたものの、いつ悪ガキが近づいて砂山を破壊するともしれないので全く気分が落ち着かない。しかもまぁまぁ距離があるので、遠近法により砂山と我々の間のスペースで遊んでいる子供たちがすべて砂山向かって行っているように見えるのだ。おにぎりをかじりつつも、いつでも威嚇のおたけびをあげられる臨戦態勢で監視し、ちびっこがボールを投げたりする度に「うぉい!」と思わず叫んでしまう。


こんな感じで全然休めないのでお昼はそうそうに切り上げて作業を再開。ついに、待ちに待った彫刻的な作業である。もはや出来上がった砂山は座ったドラえもんっていう形でもなくなっていたので、「あぐらをかいたドラえもんの観音像、しかも海パンを履いている」という謎のコンセプトへと変貌を遂げた我々のサンドアート。


そして作成開始から7時間をかけて完成した作品がこちらである。


私は背中を担当。こだわりは、背中のラインと海パンの食い込み具合、そして海パンの食い込みからはみ出したぜい肉である。海パンの柄はポップな水玉をチョイス。なんでだか忘れたが近くにミニ版のドラ観音もつくった。


写真で浴衣ギャルが微笑みながらドラ観音をみつめているが、この日は江の島の花火大会。全身泥まみれの私たちは日焼けしすぎて真っ赤になった足を海に浸して冷やしながら、段々増えてくる人たちがドラ観音の周りに集まってくるのをひたすら観察していたのであった。


そして銭湯によってさっぱりした我々は、バケツとスコップを手に浴衣姿の若者とすれちがいつつ、花火大会直前の江の島を後にしたのであった。すれ違う人たちが砂のドラ観音を発見する姿を想像してニマニマしつつ…。そんな18の夏の思い出である(完)

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加藤紗希と豊島晴香による創作ユニット[点と]のウェブサイトです。

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