【思文会】その⑭~気になりすぎる喫茶店編(豊島)
今年が終わりますね!2019年最後の更新です。年末ってどうしても毎年バタバタしてしまう。みなさん無事に年を越せそうですか??良いお年をお迎えください~!
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加藤さん、クリスマスも餃子とサウナで過ごしたのですね…!ストイック。私の実家では毎年クリスマスパーティー的なものが開催され美味しいごはんを食べるのが一年の楽しみなのですが、先週は胃腸の調子がずっと悪くどうしようかと思いました。でも当日までに治らなかったのでもう腹を下す覚悟で全部おいしくいただきました。結果いまだに毎日お腹痛くて胃薬をのんでいます!
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さて、久々の思い出を文章にする会です。あれですね、最近のエピソードを文章にするのってなかなか難しいですね。これまで書いてきた人生のネタエピソードは何度も人に話していくうちに構成が定まっていたことに気付きました…。もはやただの食べログの口コミ欄ですが、お店は最高だったのでよければ読んでください~
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【思い出を文章にする会その⑭~気になりすぎる喫茶店編】
上田での滞在最終日。私はついに、初日からずっと心奪われていた喫茶店へ足を踏み入れることを決意する。その名は喫茶故郷。お昼を食べるお店を探そうとネットサーフィンしていた際にたまたま発見したお店である。
そして、タイ旅行をともにした例の友人がたまたま演劇をみにきてくれたため、迷わず誘い、上田滞在最終日についに喫茶故郷へ向かったのであった。
ちなみに喫茶故郷を外から見ると、お店の前の小さな花壇からめちゃめちゃでかい木が道に向かってドーン!と生えている。外からの絵面がすでに規格外な感じを出しまくっており、期待値がグングン高まる。
恐る恐るドアを開けると、そこには外の世界と時空が異なったような薄暗い空間が…。入って良いのやら様子を伺っていると、「いやぁ~!どうも!どうも!!」という大きめの声とともに店主のお父さんが出てきて招き入れてくれる。外が晴れていてすごく明るかったせいか、店内に足を踏み入れるとその暗さに目がついていかず、まじでなにも見えない。そして私たちを奥の席へと誘導して座らせたお父さんは、噂通り注文も何も聞かず、特に説明もしないまま即座にカウンターの中へ消えていったのであった。
「……あれ、これ、座って待ってれば良いのかな…」
噂通りではあるのだが、店内の独特な空気感に圧倒されつつ、何の意思確認もされていないことに若干不安な気持ちになる。そわそわしている私たちに「ここはおばあちゃんが全部用意してくれるからそのまま待ってれば良いのよ」と親切に教えてくれる隣の席の女性。なるほど…。
そして待つこと数分。出てきたものの写真がこちらです。
ミニおにぎりと、ゆでたまごと、ウスターソース掛けオムレツと、昆布茶。聞いていたのよりもはるかに豪華な品々。ランチタイムスペシャルなのであろうか…?お皿にのっかったカールという絵面も見たかった気はするが、おにぎりは嬉しい。そしてゆで卵に加えてオムレツという、卵に卵をかぶせてくるラインナップも絶妙である。
さて………問題はコップである。これは、恐らくコーヒーカップなんじゃないか?と思われるのだが、中身が、ない。本来はこのセットのメインだと思われる珈琲が、入っていないのである…。この点に関しては審議が必要であった。まず、飲み物としては昆布茶が提供されている。そして、プレートにはおにぎりがのっている。おにぎりと珈琲は合わない。おにぎりと昆布茶は合う。これは、もしかしたら店主の粋な心遣いで、食事が終わったころに珈琲ポットで熱々のやつを注いでくれるということなのだろうか…?!
いやいやでもだったらカップだけあえてここに乗せて置く必要はあるのか??カウンターで珈琲を注いで持ってきたほうが楽なのでは…空のカップにポットから珈琲を注ぐスタイルはミスド以外で聞いたことないぞ…。
どうしよう…言いづらいな…でもご飯食べ終わった後に言って、もう飲み終わったのにいちゃもんつけてるとか思われたらやだな…え、これどうなんだろう…
しばらく二人で審議しながらモジモジし続けた私たちは、意を決して店主のお父さんに声をかけたのであった。
「あ、あの〜すいません…これってぇ、後から、入れていただけるんですかねぇ…?」
「えぇ!?」
お父さんは私たちのテーブルを覗き込んだ瞬間目をカっと見開きカウンターのお母さんへ向かって叫んだ。
「ぅおぉい!コーシー入ってないじゃねぇかよぉ~!!!」
忘れてたんかーい。
「いやぁ、どうもすいませんねぇ!」
そしてお父さんはすぐさまカップを手にとってカウンターへ消えていき、その後コーヒーを持ってきてくれたのであった。
ご飯を食べながら周囲を見回すと、店内は「これ、いつから使ってるんだ…?」というようなレトロな物であふれかえっている。そしてすぐそこのテーブルには、壁によりかかりながら熟睡しているおじいちゃん。入り口付近のカウンターでは、吉田茂がどうの、終戦がどうのと、さも現代の話をしているかのような勢いで熱い議論を繰り広げているご老人たち。一体全体自分がいつの時代にいるのか混乱してしまいそうだ。タイムスリップ感がすごい。
そして、まだご飯も半分ぐらいしか食べていないタイミングで再びお父さん登場。
「どぉぞど~ぞ!」
お父さんが手に持っていたのは、なみなみの珈琲。…ちなみに1杯目の珈琲はまだ一口も飲んでいない。…ん?
「あ、い、いいんですか??」
「もちろんもちろん!何杯でもどうぞ!!!」
「あ、ありがとうございます…」
こうして我々は食後に2杯の珈琲をがぶ飲みすることになったのであった。サービスしてくれるのはありがたいが、何を思ってこのタイミングをチョイスしたのかは気になる…。
そして、お会計。一律300円という噂は聞いていたが、店内のどこにもその情報は書いていない。さすがにあんなに出てきたらもっと高いかな…とドキドキしつつレジへ進んだところ…
「300円です」
レジ前のお母さんがノールックで告げる。うぉー、ほんとに、ほんとに300円だ…!!!300円でこんなに出して大丈夫なのか!?と不安になるが、こちらのお店はずっとこのスタイルでやってきた模様である。
こうして私たちは独特すぎる喫茶故郷にて楽しい時間をすごし、店を後にしたのであった。今でもあの時間を思い返す度にじわじわくる。いつの日かまた上田へ行くことがあれば、私はあの薄暗い空間に続くドアをあけてしまうのだろう。(完)
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