「必ず呼んでほしい」(豊島)
こんにちは~昨日はものすごい雨でしたね。今年の春は大雪だったり大雨だったり、強風だったり暑かったり寒かったり…忙しいですね…。気候の変化は体力が奪われますが、皆様時間があるときはたっぷり休息をとってご自愛くださいね。
---
先週の加藤さんの「すすむ」、絵面も内容もやばすぎてニヤニヤしました。この発想はなかったです。そうきたか!となりました。家にこもりつづけてる加藤さん、暇すぎて良い感じにやばさが増してる気がします。このまま育ててほしい。
---
さて、今週のお題は「必ず呼んでほしい」というものをいただきました。
これ今までで一番難しかった…なんでだろう?状況がわりと限定されるからかな?無理矢理ひねり出しました!どうぞ!
「必ず呼んでほしい」
ぼくには秘密がある。誰にも内緒の、とっておきの秘密だよ。
3歳の時、不思議な友達と出会った。白くて、半透明で、ふわふわしている友達。
その友達は、ママにもパパにも見えなかった。「こころのきれいな子供にしかみえない」って言ってた。
そいつは、しばらくずっとうちにいて、テレビをみたり、寝っ転がってたり、浮いていたり、飛びまわってたりしたのだけど、ママとパパは全然気がついてないみたいだった。
僕には兄弟がいないから、こっそり内緒でそいつと遊ぶようになった。ママとパパに内緒にしてたのは、そいつが、このこと誰かに言ったら、もう会えなくなっちゃうよって言ったから。
僕たちはすぐ親友になったんだ。たたかいごっこもしたし、おままごともしたし、一緒に歌もうたった。
だけど僕、うっかり約束やぶっちゃった。幼稚園で同じくらすのみーちゃんの気を引きたくて、秘密を教えちゃったんだ。でも、3人で遊んだほうが楽しいし、あいつとみーちゃんもきっと仲良しになれるって思ったから。
だけどあいつは悲しそうな目でこういった「僕、さよならしなきゃなんない」って。
僕はなんかいもなんかいも謝ったんだけど、決まりは決まりだから、ってあいつはどんどん薄くなっていった。僕はさけんだ。「もう二度と会えないの?」そしたらあいつはいった。
「生きてい行く日々の中で、きみがどうしようもなく困ったとき、一度だけまた会いに行く。そのときは必ず呼んでほしい」
そして、「どうしようもなく困ったとき」を見極めようとしすぎた結果、25年の歳月がたってしまった…。自分の、「どうしようもなく困ったとき」がどれなのかがわからない。難しい。多分あいつのことだから僕が本当に困った時でないと来てくれないと思って、もし間違えて、一回だけのチャンスを逃しちゃったらやだなって、慎重になっていたら、こんなに時間がたっちゃった。間違えて呼んだときに、一回だけの権利がなくなっちゃうのか、それとも保存されるのかはちょっとよくわかんないんだけど。
16をすぎたころ、あ・・・あいつって心のきれいな子供にしか見えないんじゃなかった・・・?ってことに気付いた。だけどまだ、16歳だったから、ギリギリ子供の枠に入るよなって思って、「どうしようもなく困ったとき」を急いで探そうとしたんだけど、意識してると逆に全然困れない。
そして17、20、23、25…と、ときはどんどん進んで行った。だけど、何歳までが子供かなんて、捉え方次第ってことにして、僕は30歳になった今でも心は子供なんだって思うことにしている。そう、だから僕は、毎日ありんこの観察をして、たまごボウロがおやつで、お昼寝もして、変身ごっこをして、道ばたでガオレンジャーの歌を歌ってみたりするんだ。それでいつか、本当に困ったなと思うときが来たら、きっと大きな声であいつの名前を呼んでやる。
あいつが出てきても見えなかったら困るから、心もきれいに保つためにジブリの映画を繰り返しみてるよ。いちばんきれいになりそうなもののけ姫を中心に、毎日3本。ぼくは多分、心のきれいな子供でいられていると思う。うん、大丈夫。
また、いつの日か、あいつに、会えるといいな。(終)
こないだみつけた、道端の苔。こんなところにこんないい苔が!と感動。ふさふさしてた。美。苔すき。
0コメント