「変わりゆく」(豊島)
7月ですね。なんだか7月って夏!青い空!入道雲!!って感じのイメージだけど、意外と半分以上梅雨で雨ばっかだな月ってことに数年前気付きました。多分子供のころの記憶は夏休みに突入した下旬からの印象がどうしても強いから、前半部分が抜け落ちてるのかもしれない…低気圧が続くせいか、なんだか体が重くてやたら疲れる今日この頃です。
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映画館での映画、私も久々に観たいなぁ。私はというと最近7月中旬の本番(オンライン配信ですが)に向けて劇場に通う日々です。劇場はやっぱり楽しい。
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さて、今週のお題は「変わりゆく」です。どうぞ~
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「変わりゆく」
いつからここに座っているんだっけか。
目の前には多摩川。水面をなで、すこしひんやり湿気をおびた風が頬にあたるのが気持ちいい。
随分前に顔を出した太陽はもう高い位置にのぼっていて、ジリジリ照りつけられた私の横には小さな影ができている。その影の中を、うろうろと歩き回っている小さなアリ数匹。
そしてアリが一匹残らず影から出て行ったとき、私の影は少し長くなっていて、ビュンっと一ふきした風が川面に白い波をたたせた。
あっと思った瞬間にはもう私は雨に打たれていて、さっきまで私を照り付けていた太陽は分厚い雲の中に姿を隠した。
雨があがると、夕焼け空には星が瞬き始めている。この時間が好き。夜の紺と、去り行くおひさまの赤が溶け合うような。
ゴロンと寝転んで草原に体をあずけ、目をつむると雨上がりの湿った空気が体をつつむ。私の背中は、草をぬらしていた雨のつぶを全部吸収してびしょびしょ。
だけど朝になれば、ぬれた私をまた強い日差しがカラっと乾かす。
やがて季節はかわっていって、私の体を落ち葉がかすめたり、雪が滑りおちたり、つくしが芽吹いたりするだろう。
そしてみどりにうずもれた私の上にはシートがしかれ、誰かがお弁当の蓋をあけるだろう。
そんなとき私はきっと、ほんのり感じるからあげの香りに、過ぎ去った日々を懐かしく思ったりもするのだ。
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