「早起き」(豊島)

8月あと1週間で終わるじゃん…!と今カレンダーをみながら愕然としています。こないだ梅雨が明けたばかりなのに、もう秋へと進んでいくのですね。

しかしながら毎日酷暑酷暑で、夏の終わりの気配は皆無ですね…。今日はちょっと涼しいけれども。皆様体調くずされていませんか?私はやや夏バテ気味です…。


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先週の加藤さんの写真の色合いがとても好きでした。あぁいうでっかい雲は夏ならではですよね。


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さて、今週のお題は「早起き」だそうです。最近私は早寝早起きにはまっています。正確には早寝+いつもより10分早起きです。つまりいっぱい寝ることにハマっています。でも暑すぎて夜何回も目覚めてめちゃくちゃ疲れる…意味ない…。

と、いうことで、子供のときのこと書きました。是非読んでください~。


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「早起き」

小学校低学年のころ、夏休みは毎朝ラジオ体操に参加していた。


時間はたしか6:30からだったか。場所は小学校の校庭。


ほおっておいたらいつまでたっても寝続けるような子供だったが、毎日押してもらうスタンプが嬉しくて、頑張って早起きしてかかさず参加していたのである。


その日の朝も私は目を覚ました。いつもは目覚まし時計に起こされるけれど、今日はシンとしている。時計をみる。


…大変だ!寝坊した!!


大慌てで着替えて、顔を洗って家を飛び出す。お友達のエミちゃんと待ち合わせしている時間まであと3分くらいしかない。


エミちゃんは隣の団地に住んでいる。団地と団地の間をつなぐ、しげみに覆われた小道を走っていく。なんだか空気はいつもよりひんやりしていて、葉っぱに露がついている。そしてあたりは静まり帰っている。


団地につくと、エミちゃんの姿はなかった。時間すぎちゃったから、きっとさきにいっちゃったんだ。しばらく待ってたのかな、悪いことしたな。


また私は走り出す。階段をおり、道路わきの道を通って小学校の校門をかけぬける。


もうみんな整列しているだろうか。遅れていくのちょっとはずかしいな。緑屋根の校舎を横目に校庭へ飛び出していく。



・・・あれ?



―そこにあったのは空っぽの、広くて寂しいグラウンドなのであった。


曇っているせいかいつもよりあたりは薄暗く、誰の気配もなく、音もしない。

いつものガヤガヤした、これから夏休みの一日がはじまるのだという賑やかさはそこにはない。


空間はただただ静けさにつつまれていて、不思議なような、心細いような気持ちになる。


そして私は校舎の時計に目をやり、自分が立っているのがラジオ体操がはじまる丁度1時間前の校庭であることに気付いたのだった。


あのときの、しげみの小道を駆け抜けながら肌で感じた早朝の空気、校庭で自分だけが別の世界に取り残されたように感じた心細さ、いつもの1時間前に家を出てしまったことに気付き、誰も出歩かない時間に外いるのだと知ったときの冒険のような気持ち。


なんだか不思議な色合いを持った印象深い子供時代の記憶。なぜかふとしたタイミングで、突然に自分の中に蘇ってくることがある。(終)

駅までの道に咲いてるひまわり。もう今は枯れてしまって、ここだけは夏の終わりを感じます。

つぎのお題は「終わりの気配」にしてみます。

点と___web

加藤紗希と豊島晴香による創作ユニット[点と]のウェブサイトです。

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