「デジャブ」(豊島)
こんにちは!今日も暑いですね…。明日で8月も終わりです。この一週間夏バテだかなんだか胃の調子がずっと悪く、食欲があんまりわかなかったのですが昨日あたりから復活してきました。食べ物を美味しく感じられるかはわたしにとって色んな健康のバロメーターです。
木曜日に絵の展示と演劇を久々に観に行ったのですがすごく良い一日で、とても気持ちが軽くなったのもあるかも。自分にとって、こういう時間は必要なのだということを再認識させられました。
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スイカバー!小さい頃は大好きだったけどもう何年も食べてないなぁ。
あれって考えてみればすごい発明ですよね。種そっくりのチョコをプチプチ感じながら食べる。楽しくて美味しい食べ物。思いついた人天才なんじゃないか。私も食べたくなってしまった…!
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さて、今回のお題は「デジャブ」です。久しぶりにお話を書いてみました。どうぞ~!
「デジャブ」
またやってしまった。今日は土曜日だったのだ。休日ダイヤの日はいつもより10分早く家を出なければならない。その電車を逃すと、駅からダッシュしても始業時間に間に合うかどうかギリギリのラインなのである。
電車はもうすぐ会社の最寄り駅につこうとしている。ドアの前に立ち、携帯の時刻表示をみながら、10秒でも、いや1秒でも早く扉が開くことを願う。
到着。丁度階段の前だ。扉が開いて、いちもくさんに階段を駆け下りていく。
足を動かしながら、カバンからサイフを取り出す。手をのばし、財布を「ICカード」と書かれた枠に押し当てる。
「ピッ!」
・・・といういつもの音が流れたのは、頭の中だけであった。もう一度強く押し付ける。音はしない。
そしてあの、絶望の音。「ピンポーン。ピンポーン」
改札から外へスムーズに流れていた人の流れが私の後ろで止まり、迷惑そうな顔をしたサラリーマンたちが私の横の改札機へ流れていく。
こうなると、少し待たないことには再度読み取りをすることはできない。いつもそうだ。焦っている日にかぎって改札は閉じるのだ…まずい、時間がないぞ。色んなカードをごちゃごちゃと詰め込んだ財布からスイカを取り出し、直接かざしてその時を待つ。
「ピンポーン」という音がやみ、赤く光っていた読み取り部分が緑色に戻る。
いまだ!
私はスイカを直接押し当てる。ゲートが勢いよくあく。私は一気にスピードをあげ、駆け出す。
その瞬間だった。小説などでみるような、雷に撃たれたような感覚とはまさにこのことだと思った。全身が寒気につつまれ、鳥肌がたち、目の前が一瞬真っ白になった。
シッテル
と、思ったのだ。
周囲から聞こえてくる荒い鼻息、足の裏から伝わる冷たくて柔らかくてちょっとしっとりとした土の感触。背中は何だか重たくて、何万個という瞳がこちらをじっと見つめている。
ピーーーという音とともにゲートが開く。目の前に空間が広がる。私は勢いよく駆け出す。まわりとぶつかりそうになりながら、追い抜かれ、追い越し、土をけりあげながら。
そうか、そうか、そうだった。わたし、馬だったんだ。
思い出したらもうとめられない。私の足はとまらない。いつもの道を駆け上がっていく。何人も、何人も抜かして進んでいく。会社のビルがみえた。だけど私はとめられない。ビルを通り越し、坂道をのぼり、公園をぬけて、商店街をぬけて、住宅街をぬけて。どこまでも、どこまでも走っていく。
気付けば四つん這いで、茶色くてきれいな毛でおおわれて、まつげはビッシリ生えていて、お尻にたなびく尻尾を感じる。全身の筋肉がうごめく。風をきる風をきる。
再び馬になった私は、どこまでも、どこまでも走っていくのだどこまでも。(終)
加藤さん!ローソンのアイスコーヒーSは、すでに紙コップでした…!
つぎのお題は「エコロジー」でお願いします。
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