月に免じて(豊島)
いやはやいやはや。土曜日です。ついにやりました周回遅れ。
ここ数日なんだか不思議な光景に出会います。あんまりみたことない黒いトンボみたいな虫が、道案内してるみたいに前を飛んでいったり、強風にあおられたハチが真横にスライドするように飛んでいって、さながらスケボーに乗ってるみたいだったり。あと家の近くの、普段魚がいない水路の中で大きな音を立てて魚が暴れていたり。何かの予兆なのかしら。
最近はというと、9月に参加予定だった地方の演劇祭が中止になり気持ちが落ち込んでいたのですが、『距ててて』を一足先に観てくださった関係者の方々に嬉しい言葉をもらったりして、本当にこの映画を作れてよかったなと感じています。そして私もこの映画のこと好きだなとすごく感じます。早く観てもらいたいです。
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加藤さん撮影頑張っているようです。しばらく会えてないですが、安全に健康に乗り切って欲しいです…!
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■連続ブログ小説■
さて、連続ブログ小説ですが、完全に煮詰まりまして、いきなり感と無理矢理感あふれる内容になっております!もうそろそろ終わらせたいよ〜〜。広い心でお読みください!テーマは「遠い」ですが、書き終わってから気づいて付け足したことを白状します!では第13回、どうぞ!
(前回分はこちら)
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「まじ許せないっすよ!絶対捕まえるっす!」
中林さんは苦渋の表情でこぶしを机に叩きつけた。
さっきから同じ下りを5回見ている。デジャブ。話は何も進んでいない。
昨日今日とこの町ではニワトリ泥棒が多発しているらしく、自分もニワトリを盗まれた中林さんは「若者が動かねば」と自ら対策本部長をかって出たらしい。今回私が犯人の姿を見たということで、話を聞きにおじいさんの家へやってきたというわけだ。
「だって野上さんなんてエサの調合とか工夫して、美味しい卵産むようにって毎日必死にやってたわけじゃないすか。もちろん、ここの爺ちゃんだって、まぁ米農家だけどもう何年も可愛がってきたわけで。それを…!」
中林さんはまた苦悶に満ちた表情を浮かべこぶしを叩きつけた。中林さんは怒っている。いるけれどもだからどうするって話には一向にならない。中林さんはここに来てからご飯を大盛り3杯食べている。見かねたお姉ちゃんは、事件発生現場を中林さんから聞き出して街の地図に印をつけるという作業をやってあげたが、中林さんはそれをみながら再度「まじ許せないっすよ!絶対捕まえるっす!」とこぶしを打ちつけるのみだった。おじいさんとおばあさんは結構前に寝た。
盗まれた中林さんのニワトリはピー助と言う名前だそうだ。彼女のミキちゃんと行った夏祭りの屋台で買って、大人になるまで育て上げた大切な大切なニワトリらしい。
「まぁ、俺とミキちゃんの、子供みたいなもんす…」
しかしそのミキちゃんはニワトリのとさかの質感が苦手で、ピー助が大人になってからはニワトリ小屋には決して近寄らないらしい。ニワトリを連想させる言葉すらNGになっているという。
その時、中林さんの携帯がなった。着メロはGLAYの「誘惑」だった。
「あ、もっしーミキちゃん?全然全然、暇してたぁ」
暇…?お姉ちゃんの眉間にピッと皺が寄ったのが見えた。
「うん。え?メロンパン食べほ?町で配布?何それあちーじゃん!…カネタ町かぁ。ちょっと遠いけど、軽トラ出すべ」
その時、私の脳内にあの時の香りと夢の記憶が蘇った。
「中林さん、メロンパンには卵が必要!」(続く)
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