【思文会】その⑩~初めてのお買い物と33枚の1円玉編

なかなか梅雨があけませんねぇ…私は雨が靴にしみて靴下が濡れることと、雨が降るか降らないかな日に傘を持ち歩くことが本当に苦手(傘に関しては即なくします)なので、こう毎日雨だったり、降るか降らないかな感じだったりするととても気が滅入ります。でも梅雨があけたらきっと猛暑の日々…と思うとそれはそれで恐怖…


----


加藤さんの島根写真良いですね~~地元のおばあ様に盆踊りをならって、その体験をもとに大学生と新しい盆踊りを作るなんて、なんとも面白そうな試みです。

お米のエピソードも良いなぁ。私は旅行会社添乗員時代、旧街道を歩くツアーで青森の小さな港町を歩いていた時、地元のおばあさんにわしづかみの煮干しをいただいたことがあります。袋はいただけなかったので、ジャンパーのポケットにいれたらバキバキになったなぁ。


---


さて、今週は【思い出を文章にする会その⑩~初めてのお買い物と33枚の1円玉編】をお送りいたします。

最近童話や絵本を読む機会が多かったので、そういう感じ(?)の軽い文章となりました。

是非お読みください~


---


【思い出を文章にする会その⑩~初めてのお買い物と33枚の1円玉編】


はじめて自分のお金でものを買った日のことはとても良く覚えている。


私には2つ上の兄がいるのだが、2歳早く生まれた兄は当然私よりちょっと先にできることが増え、ちょっと早く色んなものを与えられていった。


だが小さい頃の私はといえば、お兄ちゃんがやっていることはなんでも自分もできなきゃいや。お兄ちゃんのおもちゃは自分も触りたいし、お兄ちゃんが幼稚園に通い始めたら自分も行きたい。とにもかくにも「はーちゃんも!」が口癖のかなり主張の強い子供だったそうだ。


そんなあるとき、兄が小学校にあがってお小遣いをもらい始めた。確か週に100円ぐらいで、兄は多分近所の駄菓子屋でお菓子を買ったり、ガチャガチャにつかったりしていたのだろうか。


それをみた私は当然、自分もお小遣いを貰わないと気が済まない。兄が小学校に上がったころだから多分4歳ぐらいだったと思うが、激しくダダをこねてお小遣いを貰う権利を要求したのである。


そして、交渉の末ついにお小遣いを勝ち取る。


金額は、週に、1円。


お金の価値なんて全然わからないので多分1円でももらえたらもう大満足だったのではないかと思われる。


4歳にして自分だけのお金をゲットした私は、その日から1度いれたら缶切りを使わないとあけられないセーラームーンの貯金箱にせっせと1円を投入し続けた。缶カンを振ると「カシャカシャ」という音が嬉しく、だんだんその音が「ガシャガシャ」にかわっていくとより一層嬉しく感じる。週に1円、ひと月に4円ずつの貯金。そうやって季節は移り変わっていき、「ガシャガシャ」は「ジャラジャラ」という重めの音になっていた。


…う~~~ずっとこらえていたけどもう、がまんできない。あけて、あけてなかをみたい……!


貯金を開始してから何か月たったころか、多分5歳にはなっていたと思うが、私はついにセーラームーン貯金箱を開封したのである。


あけた缶カンの中には数十枚の1円玉が並んでいる。かき集めたら、駄菓子の一つくらいはかえそうな量だ。私は1円玉をポシェットにいっぱいいれて、家からすぐのスーパーに意気揚々とお菓子を買いに行ったのだった。


今でも忘れないが、私がセレクトしたのは「すっぱい梅にご用心」という当時大好きだったガム。コロンとしたガム3個入りで、3つに一つすっぱいパウダーの入ったものがまぎれている。金額は、33円(懐かしの消費税3%時代)。どこで数えたかは全然記憶にないが、私はポシェットの1円玉を何回も何回も数え、間違いなく33枚であることを確認。


わくわくしながらレジに並び、33枚の1円玉をジャーっとレジの受け皿に流し込む。


そのときは、それが普通はやらないことだなんて思ってなかったけど、多分レジのおばちゃんも大層ビックリしたことだろう。そして、当然ながらおばちゃんは、流し込まれた1円玉を1枚1枚丁寧に数えはじめたのだった。そのとき、5歳の「はーちゃん」は、(おばちゃん私のこと疑っている…!絶対ちゃんと数えたのに!!!)と非常に腹立たしい気持ちになったことをよく覚えている。


こうして私ははじめて、自分のお金でものを買う、ということを経験したのである。


今の自分にとって1円は支払い時にお釣りを減らすための道具くらいの扱いになっているが、この塵も積もれば山となるという経験を胸に、お金は大切にしようと思った29歳の夏なのであった。(完)


駅前の畑の、多分カボチャ。
苗で植えられてから日々の成長が楽しみ。
でも最近葉っぱが白っぽくなってて大丈夫かしら、、、

点と___web

加藤紗希と豊島晴香による創作ユニット[点と]のウェブサイトです。

0コメント

  • 1000 / 1000