【思文会】その⑮~期待と挫折のコインランドリー編(前編)(豊島)

梅雨、ついにあけましたね…!!!長かった…。


大切に育てていたトマトたち、途中まで順調に育って蕾の原型らしきものが次々とついてきていたのですが、長すぎる梅雨に耐えかねてか数日前からめちゃめちゃ枯れてきています。これからおひさまを浴びて復活できるのか…なんとか花がみたい…できれば実を食べたい…


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加藤さんが前回の私のブログについてお題がかえられていたと書いていましたが、「演劇を配信して」というブログタイトルで雄弁に語るのが照れくさくてタイトル変えちゃっただけでお題は変えてないです!!!内容はしっかりとそちらで書きましたー!


それでですね、前回の加藤さんのコインランドリー話で思い出した話がありまして…久しぶりに思い出を文章にする会※をやりたいと思います!加藤さんがくれた「この日々に戻りたい」というお題はその後で。と思って書いたら思文会が前後編になってしまったのでだいぶさきになっちゃいますが…ごめんなさい!


めちゃめちゃ地味な話ではありますが、どうぞ~


※思い出を文章にする会は、豊島の人生で遭遇したあれやこれやを文章にする企画です。今年に入ってから読み始めていただいた方、よければ是非こちらをご覧ください!

【思文会】投げつけられたチキン編(前編)

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【思い出を文章にする会その⑮~期待と挫折のコインランドリー編(前編)】


コインランドリー。それはあこがれの場所。


実家暮らしが長かった私にとって、街中にあるコインランドリーというのは未知なる領域であった。よって、私の中にそのイメージを形づくっていたのは完全にテレビドラマの世界なのであった。


古いけど清潔な室内。レトロな椅子。訪れる老若男女。読書をしながら洗濯が終わるのを待つ静かな時間、居合わせた人同士で始まるたわいもないおしゃべり…などなど。

一人暮らしを始めるとき、コインランドリーに憧れるあまりしばらく洗濯機を買わないでおこうかと思ったほどである。


結局すぐに洗濯機を購入したので、近所にあるコインランドリーに足を踏み入れることなく日々をすごしていた私。しかし、20代最後の夏、ついにコインランドリーチャンスが訪れる。


きっかけは、とある舞台の美術用に自室のラグマットを貸したことであった。そのラグは洗濯機で洗えるタイプだったのだが、返却後に洗おうとしたところ、我が家の一人暮らし用洗濯機にいれるとパンパンになり洗えない。


そしてふと思い出した。通り過ぎる度遠目に見つめていたコインランドリーに「布団など大物も洗える」といったような記載があったことを…!


これは、ついに、いくしかない!!!


こうして私は折りたたんだラグを抱え、財布をポケットに入れて意気揚々とコインランドリーへ向かったのであった。


ガラガラガラ…


緊張した面持ちで引き戸をあけて、室内へ入る。


人気のない室内には、沈黙した洗濯機たちが並んでいる。そのコインランドリーは左の壁際によくある縦型洗濯機が、右側の壁際にドラム式洗濯機&乾燥機が2段になったものが並んでいたのであった。


「古いけど清潔」というイメージに反し、どちらかというと古さが全面に押し出された室内ではあったが、縦型洗濯機はともかくドラム式洗濯機はわりと新しそうな感じ。迷わずドラム式洗濯機をチョイスし、二段に分かれているうちの下段、洗濯機の側にラグマットを投入。


使い方使い方…


辺りを見回すも、全く使い方の紙は見当たらない。え、これお金入れるだけで良いの???


きょろきょろしていると、「粉末洗剤」と書かれた自販機を発見。あ!洗剤のこと忘れてた…持ってくんの忘れた…。自販機に近づくと、50円という表示。うーん取りに戻るものめんどいから50円なら買っちゃえ!と財布を取り出す。


財布の中には小銭が全然なく、しかたないので千円札を取り出す。お札を投入…しようとするも、その自販機にはコインの投入口しか見当たらない。


最悪、崩さなきゃじゃん…。


さっそく素敵コインランドリー時間に水を差されテンションがさがった私であったが、外に出たところ、目の前にあった100円自販機で久しく飲んでいない懐かしのレモンスカッシュを発見。「さっきの不運がなければ、この思い出の飲み物を再び口にすることはなかった!」「たったの100円で、普通より安く飲み物を手にいれられた!」というポジティブシンキングで自分を奮い立たせて再びコインランドリーへ帰還。


100円玉と50円玉が利用できると書かれたその自販機へ先ほどGETした100円玉を投入。レバーのようなものをくるくる回す。


ポトリ…


ものすごく古めかしい感じの小さな洗剤の箱が落ちてくる。

これで50円…たか…まぁしゃあないか。


しかしである。私が投入したのは100円なはずだが、お釣りが出るはずの穴の中には50円玉の影も形もない。更にレバーをまわそうとする。ガチャガチャ…動かない。


私が数十円を節約して飲み物をGETできた喜びは、丸ごと洗濯用洗剤の自販機に吸い込まれていったのであった。ちきしょう!


…まぁまぁ。たかが50円だ。こんなことでいら立っていては器が小さすぎるではないか。


気を取り直した私は、ラグを投入したドラム式洗濯機の中に粉末洗剤を全部入れ、蓋を閉じる。表示されていた価格は300円。先ほど100円自販機で千円札を崩したため、財布内は100円玉でジャラジャラである。よしよし。100円ならいっぱいある。

3枚を投入すると、自動的に洗濯機が回り始める。ふぅー。ここまで長かったぜ…。



……


………ん?


…あれ?これ、水出てこないけども…


一時停止ボタンがあったので押してみる。あけてみると、なんだか暖かい。

もう一度閉じる。スタートボタンを押す。

ラグが勢いよく周り始める。



……


………


水が出る気配がない。

もう一度一時停止で蓋を開ける。

めちゃめちゃ熱い…。

恐る恐るコインを投入した当たりの表示を確認する。


「乾燥機」


・・・!


(続く) 


梅雨をこえてトマトもルッコラもハツカダイコンも瀕死ですが、最近まいたバジルだけは元気。家庭菜園、思ってたよりむずいです。

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加藤紗希と豊島晴香による創作ユニット[点と]のウェブサイトです。

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