【思文会】金に目がくらんだ引越しバイト編(前編)(豊島)
こんにちは!一瞬真冬みたいに寒くなったと思ったら、昨日は夏日…。現在我が家はテレビがなく、自らネットで確認しないと天気情報が入ってこないので急に季節感を変えられると対応しきれない…はやく安定してほしいものです。
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前回の加藤さんブログでも紹介しているように、楢葉町で撮影した「3年B組信八先生」が公開されていますー!楢葉の方々、皆さん本当に魅力的なので是非みていただきたいです。私はまだ2回しかいっていないのですが、夜はトキちゃん(私たちがおうちにとめてもらった、楢葉町の料理名人)のごちそうをいただきながら一緒にワイワイお酒を飲んだりして、もうすでに皆さんのことが大好きになってしまいました。これからも続く予定ですので、ぜひお楽しみいただければ幸いです!
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さてさて、予告通り今週は思い出を文章にする会〜その⑤金に目がくらんだ引越しバイト編(前編)をお送りいたします。もう一生こりごりな引っ越しバイトに手を出した際のお話しです。ぜひおよみください~!
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【思い出を文章にする会~その⑤金に目がくらんだ引越しバイト編(前編)】
お金がなかった。時間もなかった。
確か、勤めていた会社を退職して演劇の養成所に入り、2年目を迎えようとしていたころだったと思う。
会社員時代にひたすらお金をため、養成所に入ってからは「演劇に集中するぞ~!」という謎の気合でバイトもせず生活していた私。あんなにあったはずのお金はあれよあれよという間に減っていき、気が付いたときにはもう、底が見えそうなところまで来ていた。
働かなければ…!
私が通っていた養成所は年4回舞台の本番があったのだが、稽古期間に入ってしまうとかなり忙しくなる。だから、稼ぐならば一つの本番が終わってから次の舞台の稽古が始まるまでの期間が勝負なのであった。そのときは調度年度替わりの長期休み。しかしこれから職探しをしていると、その間に次の稽古が始まってしまう。この貴重な休み期間になんとしてもすぐにお金を稼ぎたい。
そこで私は、大学時代にたまに利用していた登録制の単発バイトでとりあえず仕事をしようと思い至ったのである。
そちらのサイトで募集している仕事は主に工場での軽作業で、大体時給は1000円くらい。一日8時間働くと8,000円ぐらいの稼ぎを得ることができるはずであった。
ちなみに大学時代にやった中で一番強烈だったのは、真夏に巨大な冷凍庫に入り、冷凍されたコンビニおでんが入っているパッケージにちっこいシールをひたすら貼り続けるといったものであった。真夏なのにヒートテックやらダウンやらを着込んで作業するのだが、なんせ冷凍庫なので体の芯から冷え切ってしまい、8月なのに外に出ても震えが止まらない。人々が半そでシャツに汗をにじませながら行き交う中、冷凍庫から出た私はモコモコのセーターを着こんで帰ったことを覚えている。
残念ながらそのおでんバイトはもうなくなっていたが、私は登録先のお仕事募集サイトでできるだけ稼げそうな仕事をみつけ、日替わりで仕事をすることにした。雨に濡れた折りたたみコンテナのしずくをはらい、ひたすら駐車場に立てかけて乾燥させるというバイトをやった際には、バイトリーダーのおじさんに「筋がいい」と認められ、長期雇用にスカウトされたこともあった。(腰への負担が半端なかったので断った)
そんなある日、私はとある募集を発見する。
「新生活にともない繁忙期で人が足りません!力をかしてください!」
恐らくそんな文句が掲げられていたのではないかと思う。
そして日給は、8時間でなんと、12,000円…!なんて高時給なんだ!と思い詳細を開いてみる。
それは、日雇いの引っ越し作業のバイトなのであった。
うわー引っ越しかぁ〜…絶対しんどいじゃん…さすがに無理だわ…と、一旦あきらめるも、相当人手が足りないのか各地のあらゆる拠点から募集が出ており、サイトの募集中お仕事一覧は引っ越しの求人情報であふれている。そして、一覧に踊る「高時給12,000円」の文字。
重労働の募集だと、男性限定などの表記がされているものもあるが、この募集にはそういった表記はない様子。あれ、これは、女性でもできる仕事ということなのだろうか…?
そこで、かつて引っ越しバイトをしたことがあるという女友達にどんな感じだったか聞いてみたところ、その子が働いていたところでは女性は梱包などの作業を任されていたため、全く問題なく仕事ができたと言う。
一日で、12,000円稼げるのであれば、この先の生活にちょっと余裕が…だんだんと高時給に目がくらみはじめた私。いやー、でもやっぱ無理かなぁ、や、だけど考えてみればいつも大道具の重いやつとか持ってるしなぁ…んーとはいえ心配だなぁ…や、でもまぁいけるかなぁ…………えい!
ぐるぐる考えた末、私の人差し指はついに引っ越しバイトページの「応募する」ボタンを押してしまったのだった。
そして引っ越しバイト当日。緊張しながら現場に向かった私を待ち構えていたのは、「うわ、絶対使えないヒョロッヒョロの女が来やがった…」といった表情で私を見やるベテランアルバイター(推定20歳くらい・坊主)の冷たい視線なのであった…。(続く)
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