【思文会】その⑨~オリジナル虫キャッチャーと気になるあの子との再会編(後編)(豊島)
昨日はsofabedさんのMV撮影をしてきました!先週写真をアップしたのは、sofabedのねじさんが監督する曲のMVで私たちは出演のみだったのですが、昨日のは点とに製作をお任せいただいた別曲のMV撮影でした。俳優の田中祐理子さんと葉丸あすかさんにご出演いただいたのですが、とても良いものになりそうで私たちもワクワクしています…!公開はまだまだ先の予定ですが、楽しみにしていてくださいね。
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アシスタントとして加藤さんに同行した保育園ワークショップ、子供たちみんな自由で想像力もすごくて、本当に豊かな時間でした!また行けたらいいな~!
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さて、【思い出を文章にする会その⑨~オリジナル虫キャッチャーと気になるあの子との再会編(後編)】でございます。長いですすみません…!ちょっとずつわけてお読みいただければ幸いです、、、よろしくお願いします!(前半はコチラ)
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思い出を文章にする会その⑨~オリジナル虫キャッチャーと気になるあの子との再会編(後編)
【前回の振り返り】
兄が出かけ、一人きりになった瞬間に巨大な羽虫が登場するというピンチに見舞われた中学時代の私は捕獲を試みることを決意。羽虫に近づかず、刺激を与えないで捕獲する方法を考えた結果1メートルの竹尺の先に牛乳パックをくくり付け、オリジナル虫キャッチャーを製作。それでも距離が近すぎたので、竹尺の先へ更に傘をくっつけ、2mの虫キャッチャーはついに完成したのだった。
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1mの竹尺の端にガムテープで括り付けられた傘。捕獲を試みている際につなぎ目がとれて先端部分が落下したら終了なので、兎にも角にも絶対に取れることの無いよう、ガムテープは過剰なぐらいグルグル巻きになっている。傘の部分を手にもち、虫キャッチャーを上下に振ってもガッチリと固定されたつなぎ目はビクともしない。耐性テストもばっちりである。
そしていよいよ勝負のとき。傘を握りしめながら恐る恐る巨大羽虫に近づく。牛乳パックが調度羽虫の頭上にくるようポジショニングを調整し、UFOキャッチャーのごとく、あとは下ろせばよいだけという場所に見当をつける。
よし・・・!2mの距離感はあれど、牛乳パックは間違いなく羽虫の上にある!UFOキャッチャーならば横からの角度で最終確認をしたいところだが、そういうわけにはいかない。UFOキャッチャーの↓ボタンをポン!と押したような気持ちで、私はソロリソロリと牛乳パックの高度を下げていったのであった。
お願い、気づくな~気づくな~…カポッ
2m先にくっついている牛乳パックは、案外あっさりと巨大羽虫を捕獲したのであった。
さて。ここからが問題なのだ。今巨大羽虫が牛乳パックの中に納まってくれたことは間違いないが、私が今この傘を手離したら確実に牛乳パックと床の接着面に隙間があき、羽虫が逃げ出すだろう。ここからどうするか全然考えていなかったのである、しかももうすぐ私は塾に行かねばならない。出発のリミットは刻一刻と迫っている…やばい。
そこで、傘と竹尺を床と平行な状態にキープし、牛乳パックを浮かさないようにしたまま棒を持つ両手の位置をちょっとずつ先端へ近づけるという作戦を敢行。そして、牛乳パックを床に押し付けた状態で竹尺のガムテープを引きはがし、分離。羽虫が暴れ牛乳パックが倒れて逃げられるなどという事態はなんとしても避けたいので、フローリングと牛乳パックをセロテープでしっかりと固定。
こうして私は巨大羽虫に勝利し、無事捕獲することが出来たのである。
そして安堵感の中、ふと時計をみる・・・まずい、もうそろそろ出ないと塾に遅刻する!
しかし、ここで私はとある問題に気づく。
・・・今日、めちゃめちゃ雨降っとるやないかい!
肝心の傘は今、竹尺の先端にガッチガチに固定されているのである。
そして即座に解体作業を開始。しかし取ってもとってもまだまだガムテープは巻き付いている。急がないと本気で塾に間に合う時間の電車に乗り遅れてしまう!焦る私。
ようやっと傘からガムテープが外れたときには、もう相当なダッシュをしないと間に合わない時間になっていた。時間がないので傘から取り去った大量のガムテープは親に怒られるのを覚悟で丸めて床に放置。数分前まで虫キャッチャーのパーツであった傘を手に玄関を飛び出し、死ぬ気で駅までの道をダッシュ。
・・・駅前がみえてきた。よし、まだ時間がある…!どうやら遅刻しないで済みそう!安堵し、速度をゆるめたその瞬間…駅前のコンビニから、見覚えのある顔が出てくる。それは、私が小学校高学年のときに割と仲が良く、ちょこっと気になっていた男の子なのであった。
中学校に上がった際には小学校とは違う学区へ引っ越してしまったので、小学校の友人とは中学進学と同時に離れ離れになっていた。よって、淡い恋心を抱いていたその男の子とも数年ぶりの再会である。思春期真っただ中の私はそんな久々の再会に胸躍らせ、ドキドキしながら歩いていく。いつもより姿勢をしゃんと正して、手でサッと髪を整え、めちゃめちゃ意識しながらその子との距離を縮めていく。
結局、かなりの至近距離ですれ違ったものの言葉を交わすことはなく、向こうがこちらに気付いていたかも定かではないのだが、まぁとりあえず個人的には運命の再会を果たしたような高揚した気持ちで駅に到着。屋根の下に入り、傘を閉じようとしたそのとき。私の目に信じられない光景が飛び込んできた。
傘の上には、めちゃくちゃでかいガムテープのかたまりがデーンと乗っかっていたのである。
さっき死ぬ気ではがして丸め、床に放置したはずのガムテープがなぜかしっかりと傘の上にくっついていたのだ。
それはさながら「いつもより多く回っております」の染之助・染太郎である。こちらに目を向けた瞬間気付くような、相当なデカさのガムテープ玉が傘に乗っかっている…。
・・・終わった。
駅の改札前で茫然とする私。さっきのあの子がもし私に気付いていたら、豊島、傘の上にやばいやつ乗ってるじゃん…と思われたことは間違いない。逆の立場だったら私、間違いなく学校で言いふらします。
そして、残念ながらその後二度と、彼と再会する機会は訪れなかったのである・・・。
このようにして、気になるあの子の中の最後の私の姿は恐らく、「傘にめちゃでかいガムテープのかたまりをのせたまま歩いている人」として刻まれたのであった・・・(完)
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